【南海グループのイノベーション人材 vol.3】『LAWN』の 佐々木健人さん ― テニスを通じて、人生を豊かに ―
イノベーション人財
南海グループが選ばれる沿線、選ばれる企業グループとなるために必要な成長と変化。
その実現に向けて新規事業という一歩を踏み出す南海人に、挑戦への想いについて語っていただく『南海グループのイノベーション人材』。
第3回は、テニスを通じて、人生を豊かにするサードプレイスを届けることを目指す 株式会社LAWN(ローン) 代表取締役社長 佐々木健人さんをご紹介いたします。
LAWNは現在、テニスをしたいと思った人がスムーズかつ簡単にテニスコートを予約できるサービスを展開。南海電鉄 新規事業開発プログラム発ベンチャーとして、経済産業省の「大企業人材等新規事業創造支援事業費補助金」(出向起業等創出支援事業)において補助対象事業者に採択されています。
以下では、これまでのご経歴や新規事業開発プログラム参加当時の心境、そして事業を立ち上げる中での気付きなど、インタビュー内容をお届けします。
Q.初めに、ご入社から新規事業開発プログラム参加までの経緯を教えてください。
A.元々は「まちづくりがしたい」という気持ちで南海電鉄に志望しました。入社するまで、南海っておそらくどこか古い会社だろうなという印象を持っていて、それなら入社して新しいことがしたいと思っていました。そして当時、新設された部署であった泉ヶ丘事業部(現:泉北事業部)へ配属されました。
それから2年後、なんばCITYの担当に異動になり、引き続いて流通事業に携わる中で、インバウンドの波に遭遇します。キャッシュレス・電子決済のブームも始まり、担当者として色んな電子決済事業の責任者とお話をさせていただく機会がありました。特に、Origami Payの事業責任者の方から「電子決済を通じて、日本を変えたい」という熱意を伺ったことは印象的でした。
それと同時に感じたのは、今後どの業界でも「IT化」がキーになるということ。ITを活用して個人、さらには南海電鉄の成長にも寄与するため、その後、畑違いでしたがIT部門への配属を希望しました。その出向から2年経過した頃、社内で新規事業開発プログラムの募集が始まったんです。
Q.入社当初から既に「新しいことをしたい」という気持ちをお持ちだったんですね。
A.前提として「新しいことをしたい」というより「このままの状態ではいけない」という危機感がありました。入社前の面接でも「鉄道も不動産も今の状況のままでは斜陽産業になっていく」と話した記憶があります。入社後の新入社員教育期間においても、当社の展開する各事業は沿線人口の減少に伴って、縮小してしまうと明確に言われていました。だから必然的に「新しいことをしないとあかん」というマインドは芽生えていきましたね。
新規事業開発プログラムの募集が始まった当時は、ちょうど日々の業務の中で“IT”の可能性を実感していた頃でした。一方プライベートでは、趣味であるテニスもIT化が進めばもっといいのにと思うところがあり、これらを掛け合わせられないかと検討を始め、今に至ります。
Q.入社当初からの「新しいことがしたい」という熱意が反映できるという意味で、新規事業開発プログラムへの参加は思い描いた通りでしたか?
A.実は、IT部門でまだまだ半人前だった分、当初プログラムへの参加は堂々とできる状態ではなく…「ちょっと顔出す程度です~」と誤魔化していました。ただ、忙しい日々の合間を縫ってでも、新規事業開発プログラムだけはやりたくて仕方がなかったんです。最終的にちょっと顔出す程度では済まなくなって、今があるんですけどね(笑)
Q.「やりたい」と貫く意志が揺らいだりする瞬間はありませんでしたか?
A.なかったですね。特別な感情として盛り上がるようなこともなく、ずっと一定。根底にある気持ちです。プログラムが始まる以前、社内には新しいことへ挑める環境が足りないような印象を持っていました。対照的に、入社当初から自身は「やらなあかん」と意気込んで、周囲にもそれを話していたので「せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない」と決意しました。
もちろんその決断をするのは、とてつもなく怖かったです。飛び込んだら失敗することも絶対あるだろうなと予想していましたし、「失敗=良くないこと」というイメージもありました。それでも、よくよく考えるうちに「たとえ失敗しても、捨てるものってそれほど無いのかもしれない」と思い始めて、ここまで続けられています。
Q.事業を推進する中での、期待と不安のバランスはどうでしたか?
A.新規事業開発プログラムへの参加から法人化するまでの間はずっと、不安:期待が9:1くらいでした。1割の期待を持った自分が、不安でいっぱいになっている自分の背中を押して進んできた感じ。不安でいっぱいの自分は毎回、内心では「押すな!押すな!」と抵抗していましたが(笑)
しかし、会社を設立してからはそのバランスも変わったかもしれません。今でも、もちろん不安がないわけではないけれど、不安によって行動を制限されることはなくなってきました。それは何か特別なきっかけがあったのではなく、時間とともにやっと少しずつ自信がついてきたからでしょうね。
Q.不安9:期待1だったご自身に今かけたい言葉はありますか。
A.「とりあえず行動しよう!」と声をかけますね。
当時は「失敗するのが怖いからやらない」という姿勢がまだ残っていたので、「大丈夫、なんとかなるよ」と言いたいです。
Q.LAWNを立ち上げて既に企業、行政など多方面との繋がりができている印象を受けますが、ご自身としてはどのように認識されていますか?
A.サービス自体がわかりやすいから、色んなところで定着しやすいというのはあるかもしれません。ただ、この事業は、そもそも色んな方に会いに行ったことで立ち上がってきたものでもあります。その方々のおかげで現在は、30施設・約300面のテニスコートを予約できるサービスになりました。神戸市とも連携し、行政の管理するコートが予約可能となったのも、周囲のサポートがあったからです。
事業化する以前は、システムを作ったことがない、テニス業界にも詳しくない、ユーザーも把握していない。「これがしたい」という気持ちだけで、自分の中が空っぽだという自覚はありました。けれども、「カタチにする材料を持ってる人はいるから、まずはその人たちに会いに行こう」と新規事業開発プログラムの事務局が背中を押してくれて動き出しました。
とにかく色んな所へ足を運ぶと、自分一人で考えたら100年かけても追いつかないことを、周囲の方が教えてくれるんです。さらにその吸収した知識が、次の営業先へ向かう自信にも繋がります。続けていくうちに、会うことが一番近道だと確信して、それと同時に「あの人(佐々木)はいいよね」「こんなに頑張ってる人がいるよ」と口コミで関係者が増えていきました。
「教えてください」と言って、嫌がる人って実はほとんどいません。自分に置き換えたら確かにそうだと思えるけれども、後になって気づき始めましたね。
Q.一方で、「これは苦悩した」という一番の思い出はありますか?
A.逆算思考で考えることが長い間出来ず、苦労しました。
これまでの自身の傾向として、目の前のものにすぐ飛びつく、そこから次に移る先が見える経験を積み重ねていくタイプだったので、行動の先のゴールが見えていなかったんです。それはゴールから逆算して動く人と比べると絶対に遅い。ただ、学生時代なども含めて、過去に自分で目標を設定した経験が乏しかったので、自分の中に逆算思考を落とし込んでいくのは苦しかったです。
Q.元々は自身の中に無かった考え方を「できている/できていない」と認識すること自体、最初は難しかったのでは?
A.周囲から指摘されることで徐々に意識付けされた感じです。具体的には、小さな目標を自ら宣言して客観的に見てもらいました。例えば「来週中に10件アポイントをとる」と設定して実際に達成するだけでも、何も考えず目の前のアポイントを取ることで満足していた自分と比べたら大きな成長です。
逆算思考の小さな成功体験を、少しずつ大きく外に広げていって、身に着ける練習を新規事業開発プログラムの中でさせてもらっていたんだと思います。
Q.最後に、イノベーションを起こそうと挑戦する方へのメッセージをお願いします。
A.少しでも面白そうだなと思ったら、「飛び込む」という選択をしてほしいです。
「イノベーションは大事だと思ってるけど、専門知識がない」「既存業務さえ一人前ではないから、他に手を伸ばすのはまだ早い」という、ちょっとやりたいなと思った後の「けど」に振り回されてやらないのは、もったいない。大抵そこに対する自分の不安やハードルって幻みたいなもので、きっと「やってみたら意外にいけた」の塊です。だからその選択に左右されてしまうのは、結局南海グループの今後の可能性を縮めてしまう根源だと思っています。
何か気になったら、ちょっと知り合いに聞いてみる。ヒアリングしてさらに興味が出たら、実際に会いに行ってみる。小さな動き出しでも、一人ひとりのアクションの積み重ねがやがて南海グループの成長に繋がると信じています。
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